気密測定を工務店さんからの依頼で行っています。
高気密の住宅が多いのでC値0.1~0.4くらいの住宅が多いです。
相当隙間面積は(家全体の隙間を総合した値)15~30cm2とかなので4cm×4cmから5cm×5cmほどなので家全体の隙間はとても小さいです。
一方で隙間特性n値という評価値があり、気密測定の教科書にはnは1~2の間の数値となり、「隙間が小さい場合は1に近づき、単純開口のように隙間が大きいと2に近づく」と書いてある。
ある測定現場で相当隙間面積20cm2,C値で0.2だけどもn値が2.0となる結果が出ました。
そもそも、家全体の隙間が20cm2しかないし、家中くまなく漏気しているところが無いか探し回ったけれどもそんなに大きな隙間は見つからない。
このn値というのはある程度気密性能が良くなると測定誤差が大きくなり意味がなくなるのではないか?と思ってしまいました。
そもそも、差圧に対する通気量を測っているだけなのにどうして大きい隙間があるというようなことが判るのかが理解できません。
そこで、気密測定のシミュレーションシートを使って同じC値の条件でn値が変わる場合の条件をシミュレーションしてみました。
このシミュレーションをすることで判ったのですが、C値は差圧が9.8Paの時の通気量で決まるのでこのポイントを通れば、傾きがいろいろ変化してもC値としては同じ結果が出ます。
この図を書いてみてイメージがつかめました。
n値=1.0,1.5,2.0の3つの場合のグラフですが、9.8Paの時の通気量は80㎥/hで同じですが、差圧が増えた場合の通気量に差が出ます。
n値=2の場合は50Paまで差圧が増えても通気量が180㎥/hほどですが、n値が1の場合は50Pa時は400㎥/hも流れます。
これだけ見るとn値が2の方が通気量が少なくて良い気がしますが、大きい隙間は本来あってはいけない隙間なので、この隙間はしっかり無くす必要があります。
n値の違いをイメージするために下図のような絵を書いてみました、どれも開口面積は同じですが、穴の周囲の距離はだいぶ異なります。
空気の通りやすさは空気と接触する縁の部分が少ない方が空気が通りやすいというようにイメージするとわかりやすいのではないでしょうか?
C値が0.2くらい出て、C値としては十分合格な場合でもn値が2に近い場合にはどこかに止め忘れている個所がありそうです。
完成検査の場合には封止忘れや、窓のロックがしてないなどうっかりミスがあるかもしれません。